かえるん日記

当たった時は謙虚に。外した時は冷静に。

リスグラシュー、激闘の22戦を振り返る。

kaerun4451.hateblo.jp

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有馬記念で感動的なレースを見せてくれたリスグラシュー。惜しまれつつもこれで引退となります。私もリスグラシューは出資者の知り合いがいることもあって大好きな馬で、度々本命に推させていただきました。裏切られたこともありましたし、稼がせてもらったレースもありました。そんないろいろな思い出の詰まった22戦を、このタイミングで振り返っていけたらという記事になっております。どうぞ最後までお付き合いください。

2歳

2歳新馬(新潟1600) 2着(中谷)

デビュー戦から混合の18頭立てというレースチョイスはさすが矢作厩舎という感じですが、デビュー前の好調教、ノーザンの良血ということもあり1人気に推されました。スタートはモッサリ、63.2のスローペースを中段追走の形でしたが、凄まじい加速を見せて、最後は粘りこみを図るルートディレクトと競り合いの形となりましたが惜しくもクビ差2着。しかし直線フラフラという形ながら上がりは33.0を使えており、能力の片鱗は見せました。ただ馬体重は432キロ。当時の馬体を見ても非力な印象は拭えないですね。

2歳未勝利(阪神1800) 1着(中谷)

阪神に場所を移しての2戦目。新馬戦のモッサリゲートを考慮してか、1800への距離延長となりました。この時4馬身千切ったガンサリュートはのちに京成杯で2着。下位組も8頭が未勝利戦を突破しており、かなりのハイレベル戦でした。レースとしては新馬戦とは違いゲートをしっかり出て。好位のインでしっかり折り合う形。ひと回り馬体の大きな牡馬相手でもまったく怯む様子は見られませんでした。直線に入ってゴーサインを出すとスルスル加速して4馬身差の圧勝。勝ち時計1.46.2もすこぶる優秀。一躍牝馬クラシックの有力候補として名を上げました。

ここでこれだけは言っておきたいのですが、新馬→未勝利の2戦で、しっかり馬群の中で折り合って抜け出すという競馬を教え込んだ中谷騎手の存在は忘れてはならないでしょう。

アルテミスS(東京1600) 1着(武豊

クラシックを見据えて武豊Jを鞍上に据えての初重賞。馬場の真ん中からスッと抜け出して危なげない完勝でした。この時の馬体重は生涯最低となる428キロだったのですが、輸送のせいか少々ガレ気味。スローの流れで若干行きたがる面も見せたり、直線もヨレヨレで斜行気味の挙動になったりと、勝ちはしたものの課題の残る1戦となりました。

阪神JF(阪神1600) 2着(戸崎) かえるん印 : 〇

武豊Jが香港騎乗のため戸崎Jに乗り替わっての初GⅠ。レース前はソウルスターリングとの2強対決と言われていました。レースでは大外枠から無理に出していくことなく後方待機の形。直線ではいい脚を使ったものの、インで溜めていたソウルスターリングに出し抜かれ2着まで。前後ろにバイアスのないフラットな競馬だったことを考えれば完敗といった印象で、ソウルスターリングの強さを際立たせるレースとなってしまいました。ただアルテミスSで減っていた馬体重は元に戻り、急坂でもヨレることなくしっかり脚を使えたのは収穫で、クラシックが楽しみになるレースぶりではありましたね。

3歳

チューリップ賞(阪神1600) 3着(武豊) かえるん印 : ◎

しがらきから帰ってきて馬体もふっくら、いかにも前哨戦仕様という感じで臨んだ同レース。ソウルスターリングを見る形でレースを進めるも、逆に直線では離されてしまう形でゴール。後方から強襲してきたミスパンテールにも交わされてしまい、この時点でのソウルスターリングとの差が浮き彫りとなってしまうレース内容となりました。

桜花賞(阪神1600) 2着(武豊) かえるん印 : ◎

期待半分、不安半分で迎えたクラシック本番。初めての道悪となった同レース。中段いい位置でレースを進め、ノメって伸びあぐねるソウルスターリングを尻目にグングン脚を伸ばすも、前目で上手く立ち回ったレーヌミノルに出し抜かれてしまう形。初GⅠにあと一歩届きませんでした。この時から指摘されていたのはアチェンジの遅さで、どうしても加速のタイミングで他の馬にマージンを取られてしまい、それが致命傷になってしまうというケースが増えてきました。これもやはりまだトモが緩く馬体が出来ていないし、筋肉量が少なくトップスピードに入るとフラフラしてしまうという面があるのが原因で、まだまだ発展途上だなというのが見て取れると思います。

オークス(東京2400) 5着(武豊) かえるん印 : ◎

「ギアチェンジで遅れを取って負けるケースが3戦続いているので、距離延長+東京替わりで持続力が生きる展開になればこの馬の良さが生きるはず」という予想で本命に推しましたが、伸びあぐねての5着。こちらも3~4角の12.1→11.6→11.3と加速が入るポイントで他馬から遅れを取ってしまったのが直接的な敗因ですが、また輸送で体重を減らし、大幅距離延長で折り合いに苦しむなど「負けるべくして負けた」という具合の完敗でした。

ローズS(阪神1800) 3着(武豊) かえるん印 : ◎

「晩成血統で夏の成長力にも期待でき、未勝利で超抜時計を叩き出している得意コース。ファンディーナが速めに前を潰して展開も向くはず」という予想で本命にしましたが、後方からよく脚を伸ばしたもののラビットランにキレ負け、ワキタエンカに粘りこまれての3着。良い競馬はしていましたが勝ち切ってほしかったというのが本音で、春に見せた緩さは解消されず。我慢の時期が続きます。

秋華賞(京都2000) 2着(武豊) かえるん印 : ◎

桜花賞で道悪適性は見せたし、アエロリットやカワキタエンカがいてタフな競馬になりそう。この馬の持続力が生きる」という予想で本命に推しましたが、完全にインで上手く立ち回ったディアドラルメールJの好騎乗もあり惜しくも2着。この頃からタフなレース>キレ勝負という本質的な適性を見せ始めるも、オークスで見せた折り合い面の不安から出そうにも出していけないというもどかしさも出てきてしまいました。そんな状況でもGⅠで好勝負するんだから強いんですけどね。

エリザベス女王杯(京都2200) 8着(福永) かえるん印 : ☆

アチェンジの下手さが致命的となるこのレースということで軽視しましたが、しっかり上がり最速で差し損ねての8着。これはもう現段階ではやむを得ない結果で、武豊J騎乗停止で急遽手配された福永Jを責めることはできないのではないでしょうか。ちなみにこのレースでリスグラシューと同様後方から差し損ねた7着クイーンズリングはその後有馬記念で2着、9着ルージュバック有馬記念で5着、ディアドラもこのレースは12着でしたし、相当前にバイアスがかかるレースであったことに間違いはないでしょう。

4歳

東京新聞杯(東京1600) 1着(武豊) かえるん印 : ◎

「バテ差しなら届くという形がベストの現状でマイル戦への短縮はかなりプラスで、ハーツクライ産駒の明け4歳で成長力にも期待」との予想で見事1着。このレースはサトノアレスとのセットで稼がせてもらいました。12.4→11.1という急加速をこなせたということで3歳時からの成長をかなり感じましたし、この時点でヴィクトリアマイルでの戴冠はほぼ確信的でした。

それにしても、この時勝利インタビューで武豊Jが言った「この馬は意外とマイルのほうが合うのかもしれない」という言葉に、最後まで競馬ファンが翻弄されることになろうとは。。

阪神牝馬S(阪神1600) 3着(武豊) かえるん印 : 〇

初の馬体重450キロ突破で、明らかに叩き仕様のレースでしたが、ノリさんの幻惑スロー逃げを後方から進めて、しかも捌くのに苦労しての3着。間違いなく1番強い競馬はしており、本番に向けて悪くないレースが出来ていたのではないでしょうか。

ヴィクトリアマイル(東京1600) 2着(武豊) かえるん印 : 〇

武豊Jがこの馬で唯一勝てるレースを逃したのがこのレースです。戦前の予想に反して35.2のどスローでレースが流れてしまい、溜めてガツンに徹した同馬は32.9と極限の上りは使ったものの、完璧に立ち回ったジュールポレールに出し抜かれてしまいました。このレースは何度見ても悔しいですね。

安田記念(東京1600) 8着(武豊) かえるん印 : ◎

「スローになりやすいヴィクトリアマイルよりハイペースの安田記念のほうが展開的に面白い」という予想で本命を打ちましたが、見せ場なく8着。春4戦目かつ中2週ということで上積みが無かったのもありますが、牡馬一線級相手だとこの距離では若干のスピード不足のようにも感じました。

府中牝馬S(東京1800) 2着(デムーロ) かえるん印 : 〇

このレースも完全に瞬発力勝負でしたが、それでも2キロ重いディアドラに差されたのは案外という結果で、次のエリザベス女王杯へ向けての懸念が残る結果となりました。

エリザベス女王杯(京都2200) 1着(モレイラ) かえるん印 : 消

距離への不安要素も残る中で迎えた2度目のエリザベス女王杯でしたが、展開不向きの中目の覚める末脚で勝利。GⅠ初制覇となりました。この時この馬の覚醒を見抜けなかったのは一生の不覚です。

レースではこれまで弱点とされてきたギアチェンジの遅さを微塵も感じさせない走り。2歳時から馬体重も30キロ増え、まさに充実期という感じの勝ちっぷりでした。また、府中牝馬エリ女で馬が急速に成長したというわけではなく、4歳夏に大きく成長したものの府中牝馬は上がり32秒台の決着ではこの馬の良さが全く生きなかったと捉えるのが妥当で、やはりタフな競馬>スピード質な競馬という本質的な適性がここで再度示されていたと思います。

香港ヴァーズ(シャティン2400) 2着(モレイラ) かえるん印 : ◎

充実期のエグザルタントとのマッチアップに敗れはしたものの強さを示しての2着となりました。初の海外遠征で精神的に落ち着かないところもあったようですし、これは上出来でしょう。ちなみにここで負かしたヴァルトガイストは今年凱旋門賞を制覇しています。この年の香港ヴァーズがかなり骨のあるメンバー構成だったことには疑う余地がないでしょう。

5歳

金鯱賞(中京2000) 2着(シュタルケ) かえるん印 : ◎

このレースはダノンプレミアム(天皇賞・秋2着馬)に完璧に立ち回られましたが、いかにも香港を見据えた前哨戦仕上げでしたし、イン伸びの馬場で外を回ったロスもありました。まあそもそもダノンプレミアムも相当強い馬ですし、悪いレースでは無かったでしょう。

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QE2世C(シャティン2000) 3着(マーフィー)

ウインブライト香港ヴァーズと同じくエクザルタントに屈し3着。香港のウインブライトはべらぼうに強いと思っていて、そのウインブライトとほぼ互角に渡り合えたというのはこの馬としては悪くなかったのではないでしょうか。あと1.58.8の高速決着ということであまりこの馬の良さが生きなかったというのもあると思います。

宝塚記念(阪神2200) 1着(レーン) かえるん印 : ◎

この馬の1着固定で外したレースでしたが、2度の香港を経てさらにたくましくなったなと感じるレース内容でした。2番手に付けて上がり最速でしたからね。エリザベス女王杯を勝ってから毎レース毎レース馬が成長していて、まだまだ成長期真っ只中なのかなと感じる5歳の春。だいたい競走馬の成長ピークは2歳秋~3歳にかけてなので、これだけ指数関数的に強くなっていると感じた馬はリスグラシューがはじめてです。22戦もしていればどこかで底が見えるもんですが、リスグラシューの底が見えたことは1度もありません。なんならまだ隠しているかもしれない。

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コックスプレート(ムーニーバレー2000) 1着(レーン) 

すさまじいレースでした。完全にイン前質のコースを斤量49.5キロでインで立ち回った馬を57キロ背負ってあの舐め腐ったコーナー捌きで差し切るのだから強すぎるの一言。この時点で有馬記念でのアタマ固定はほぼ確定的でした。

有馬記念(中山2500) 1着(レーン) かえるん印 : ◎

そして先日の有馬記念。初の中山を懸念する声も多く上がっていましたが、私個人としては散々書いてきた通りタフなコースは合うと思っていました。枠に逆らわず道中はインでジッと溜めて、4角カニ歩きで大外へ。そこからなんと加速ラップで締めくくるというとんでもなく強い競馬でした。これでは後続は5馬身離れますね。

2歳時、華奢でフラフラしていたリスグラシューが、最後は468キロまで馬体を増やして、もの凄い手応えで坂を登ってくる姿を見て胸が熱くなりました。現役続行を望む声もありますが、私としてはもう十分いいものを見せてもらった気がします。

この馬からはいろんなことを学ばせてもらいました。感謝しても感謝しきれません。ありがとうリスグラシュー。仔馬で、また新たな夢を。

馬名: リスグラシュー(Lys Gracieux :雍容白荷)

馬名の意味: 優美な百合

: ハーツクライ

: リリサイド

通算成績: 22戦7勝(7-8-4-3)(GⅠ4勝2着5回) 

調教師: 矢作芳人

馬主: キャロットファーム

生産者: ノーザンファーム

総獲得賞金: 8億8738万円

「弱さは、強さに変えられる」

それではまた明日。