2017世代のダート馬のランク付けは2歳時から行ってきましたが、今回がラストの記事となります。だいたい目ぼしいところはデビューしきったと思いますし、何回も変えるというのも良くないと思うので。
ちなみに去年ランクインした馬のその後の成績はこんな感じです。
特別枠 マッスルビーチ(シリウスS9着)
10位 ケイアイターコイズ(2勝クラス2着)
9位 デルマルーヴル(名古屋グランプリ制覇)
8位 グルーヴィット(武蔵野S10着)
7位 ノーヴァレンダ(OP5着)
6位 ダノンスプレンダー(2勝クラス3着)
5位 デアフルーグ(OP4着)
4位 クリソベリル(チャンピオンズC制覇)
3位 シハーブ(喉鳴りで休養)
2位 オーヴァルエース(屈腱炎で休養)
1位 ゴルトマイスター(3勝クラス1着(骨折離脱中))
上位陣が軒並み順調さを欠いているとはいえ渋い結果に。ゴルトマイスターに勝利経験のあったハヤヤッコを評価しきれなかったのが痛恨でしたね。
昨年度の反省を踏まえ、今年は「成長力」「気性的な安定感」「体質の強さ」等の項目に強めのバイアスをかけてランク付けを行いました。ここで紹介する馬は「将来的にOPでも活躍できる馬」「世代ダート重賞(ユニコーンS・JDD・レパードS)で上位に来れる馬」の基準を現時点で完璧に満たしている馬たちです。穴党の私でも今後ベタ買いしていくレベルですので、ぜひ参考にしてもらえればと思います。
レース名後のアルファベットは、C→適性外のレース、B→メンツ次第で圏内まで、A→適舞台で好勝負必至、S→最有力候補といった感じです。
第10位 ウーゴ(ゴールドアリュール×ヴェントス)
新馬戦のタイム1.36.9(35.3)は馬場が超高速だったとはいえ優秀。またこの新馬戦は超絶ハイレベルで、2着のゲンパチマイティー、3着フラッフィクラウド、4着アメリカンフェイス、6着ヒートライトニングが勝ち上がり、7着ラストラフ、8着セイユメアカリもその後馬券になっています。このメンツを3馬身半千切るのだからこの馬のスピード能力は疑いようがなく、軽めのダートなら間違いなく世代トップのラインに乗ってくる1頭です。
寒椿賞は中京で外をぶん回すロスがありましたし、残り2ハロンで前に11.7を刻まれて物理的に届かなかったという形でした。ウーゴより後方から追い上げた11着のソングオブザハートも次戦で1勝クラスを突破していますし、レース自体にそもそもの相当な前バイアスもあったはずです。スカーレットカラーの弟で成長力にも期待できますし、2戦目の敗戦で人気を落とせば次が狙い目になるのではないでしょうか。
ユニコーンS : B
JDD : C
レパードS : B
第9位 ヴォルスト(キズナ×ナスケンアイリス)
POG指名馬です。兄にモジアナフレイバーを持つ良血。新馬戦の個別ラップは12.8-12.2-12.0ほどで、時期を考えればかなり優秀なラインの脚力を見せました。
その後の2戦はコーナーで加速できないという弱点が露呈されましたが、使いつつ前半の追走要素が劇的に上昇。4戦目にして、4コーナーで前を射程に捉えることができるようになりました。その4戦目はその後1勝クラスを勝ち上がるハクアイウィンザーがほぼ完璧なマクリを打ったものの、それを脚力だけでねじ伏せた形。直線スピードでマージンを取りたい分、そもそもコーナーでの機動力が要求される京都は良くないですし、東京や大井ではかなりのパフォーマンスアップが見込めるのではないでしょうか。
ユニコーンS : B
JDD : B
レパードS : C
第8位 サンライズホープ(マジェスティックウォリアー×オーパスクイーン)
新馬戦の1.53.5(38.1)は大型馬の初戦ということを考えればかなり優秀。しかも超大飛びの馬で、コーナリングの挙動も怪しかったです。その証拠にレースラップは13.0-12.9-12.2と逃げて接戦だったにしては不可解なラップを刻んでおり、コーナーで加速できずに直線半ばでようやくエンジンが掛かった形であることがわかると思います。競ったミヤジコクオウ(ネモフィラ賞1着)が京都ドンピシャの追走力に寄ったタイプであることを考えれば、地力的にはこちらのほうを上に取るのが妥当でしょう。
ユニコーンS : C
JDD : A
レパードS : C
第7位 ロンゴノット(パイロ×ブリクセン)
兄にドバイWCを勝ったアフリカンストーリー、アルゼンチン共和国杯3着のアフリカンゴールドを持つ良血馬。新馬戦は1.5秒差を付ける圧勝でしたが、1.55.3(38.4)はこの日のタフ馬場を考慮すれば超優秀。残り4ハロンから12.4を叩いて12.9-13.0でまとめているあたり、相当追走力があるものと思われます。
2戦目は大外枠から後方待機の形となりましたが、向こう正面の13.3-12.5と速くなるポイントで動いてしまいガス欠。字面以上に厳しい競馬でしたし、それでも0.4差にはまとめているのだから評価は変えられないといった感。パイロ産駒らしく機動力がある馬なので、ここから内枠に替わるのはかなりプラスに働きそう。ローカルの小回りあたりで立ち回れば世代屈指だと思います。
ユニコーンS : C
JDD : C
レパードS : A
第6位 シェダル(ゴールドアリュール×マイティースルー)
新馬戦は2秒差の圧勝。1.54.6(38.4)だから必然的に千切れるわけですが、逃げての数字ではなく外2で他馬に合わせながらの競馬だったということを評価したいと思います。またラスト2ハロンの12.9-12.8は余力がかなりある中での数字ですし、紫苑Sを勝ったパッシングスルーの弟で成長力もありそう。1戦だけでなんともいえないところはあるものの、操縦性、自在性は高そうですし、ダート世代重賞ではオールマイティーに活躍できそうな素材ではないでしょうか。
ユニコーンS : B
JDD : B
レパードS B
第5位 タガノビューティー(ヘニーヒューズ×スペシャルディナー)
芝を2戦使ったせいで馬柱が汚くなりましたが、本来であれば2戦2勝の無敗馬。しかもその2戦がえげつない内容。新馬戦は実質ラスト1ハロンだけで1.2秒ほどひっくり返す強烈な脚(レース映像参照)を見せましたし、2戦目のプラタナス賞に関してはただの前残りレースを最後方からぶっこ抜きましたが、この時の上がり34.8はまさに異次元(芝で例えると上がり31.8だと思ってもらって構わないレベル)。あまりにもズブいので評価を落としてのこの順位ですが、芝を使って行きっぷりも多少は良くなりそうですし、今後の活躍が楽しみで仕方ない1頭。最後方一気のロマン砲ですね。
ユニコーンS : S
JDD : B
レパードS : C
第4位 ファシネートゼット(牝・ヘニーヒューズ×ファシネートダイア)
度々取り上げている馬です。新馬戦は中京ダートの2歳戦史上初の上がり35秒台を記録。2戦目も難なく突破しましたが、この時の1勝クラスは超優秀なメンツで、4馬身半千切った3着キメラヴェリテは北海道2歳優駿を勝利しました。
兵庫JGは3着でしたが、コーナーで加速できない弱点がモロに露呈したレースでこれは度外視。そう考えるとこの馬の直線スピードを生かすには現状東京がベストだと思います。次戦はヒヤシンスSの予定ですが、当然有力候補として挙がってくるのでは。レーヌブランシュも気になりますが、牝馬では間違いなくこの世代ナンバーワンの地力を持っている馬です。砂の女王へ、期待したいです。
ユニコーンS : A
関東オークス : A
レパードS : C
第3位 デュードヴァン(デクラレーションオブウォー×ジェラスキャット)
新馬戦は1.37.0(36.2)でしたが、馬場も加味するとウーゴ戦よりも指数優秀。昨秋の東京では1番のハイレベル戦となりました。実際に2着ダノンファラオ、4着バイシュラバナ、11着ビービーレガロが勝ち上がり、3.6.7.10着馬が後に馬券に絡んでいます。
2戦目のカトレア賞の1.36.2(36.6)は馬場が軽いとはいえさらに優秀で、イン前質が強いレースの中しっかり外を回して伸びてきたあたりは素直に評価すべきでしょう。
また、そもそもこの馬の強みは立ち回りと追走力で、東京マイルはあまり合わない舞台設定だと思います。それでいてこれだけやれるのだから能力は相当なもので、世代ダートの3戦で最も大崩れしないのはこの馬になるのではないでしょうか。個性派揃いの世代の中で、優等生が虎視眈々と頂点を狙います。
ユニコーンS : A
JDD : B
レパードS : S
第2位 ダノンファスト(キングメハメハ×ダンスファンタジア)
こちらは先日の新馬戦を2.3秒差で圧勝。1.54.9(37.5)を外3の形から叩き出したのはかなり優秀ですが、特筆すべきはそのラスト2ハロンのラップタイムで、手元の測定だとなんと12.2-11.9。どスローだったとはいえ、ザッと調べた中では過去の中山ダート1800では史上最速の上がり2ハロンタイムでした。
向こう正面で12.1とマクリが入って一気にペースが速くなったところでも唸るような手応えでしたし、どちらかといえば追走力に寄ったタイプになりそうといった印象です。
いずれにしても去年の中山の新馬、未勝利戦では見なかったような数字が出ており、指数としても伏竜Sのマスターフェンサーやドンフォルティスを現時点で凌ぐレベル。「神童」の誕生を予感させる走り。ワクワクします。
ユニコーンS : B
JDD : A
レパードS : S
第1位 カフェファラオ(アメリカンファラオ×マリーズフォリーズ)
新馬戦の字面的には1.54.7(37.3)でラスト2ハロンが12.3-12.2と、馬場を考慮すればダノンファストとほぼ同じ水準でした。しかし向こうは芝とはいえ競馬の経験があり、こちらは初出走といったあたりでこっちのほうが上積みとしては大きいのかなということでこっちを1位にしたという経緯です。ただ馬体を見ると、ダノンファストはスピードタイプでカフェファラオはパワータイプといった印象で、スピード寄りの条件ではダノンファストが強く、パワー寄りの条件ではカフェファラオのほうが強いという感じになるのではないでしょうか。
さてこの馬アメリカンファラオ産駒ということで、どういう風に成長していくかはわかりませんが、少なくとも馬体はまだユルユルです。「怪物」が今年も出て来たなという感じですね。血統的な価値も高いですし、この馬が日本のダート競馬を変えるかもしれません。
ユニコーンS : A
JDD : S
レパードS : A
以上の10頭からユニコーンS、JDD、レパードSの勝ち馬が出てくるのかなという風に私は見ています。勝負の夏に向けて、ダート世代戦もアツい戦いが続いていきます。芝のクラシック戦線もいいですが、たまにはダートの世代戦にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
ちなみに「この馬強そうだけどどうなの?」というのがあれば、コメント欄に書いていただければ拾って解説したいと思います。そこでこの10頭以外のダート馬についても語ることができれば。
今週は東海Sがあるので、土日の平場ダートの予想回顧記事を通常通り出すのに加えて、東海Sのみの予想回顧記事も出したいと思います。6本立てになりそうですが、しっかりやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。