こちらの記事で箱根駅伝の順位予想を出しましたが、結果はこんな感じ。
1位 青山学院大学(3位予想)
2位 東海大学(1位予想)
3位 國學院大學(6位予想)
4位 帝京大学(7位予想)
5位 東京国際大学(5位予想)
6位 明治大学(-)
7位 早稲田大学(9位予想)
8位 駒澤大学(4位予想)
9位 創価大学(-)
10位 東洋大学(2位予想)
当日の区間変更を含めて結構いい線はついたと思いますが、なかなか事前予想するのは難しいですね。
高速レース展開の要因は?
レースとしては10区間中6区間(5区はコース変更前の今井正人選手の69:12が実質的な区間記録)で更新されるというもの凄い高速レースになりました。このような高速レースが展開された要因はいろいろありますが、
・風、気温、湿度等のコンディションがかなり良かった
・厚底シューズによるベーススピードの向上
の2点が主に挙げられると思います。
選手たちもこの影響は認めていますし、例年比で見れば20kmあたり30秒~40秒オーダーのバイアスがあったように感じます。特に追い風だった前半の1~4区、ビル風が例年ほど吹かなかった10区に関しては影響が大きく、過去のタイムとの単純比較はできないですね。ダービーのタイムでその世代のレベルが図れないのと同じことです。過去のタイムは地力を比較するうえでの参考にはなりますが、その比較は所詮机上の空論でしかありません。
青山学院大学の勝因は?
優勝した青山学院大学は下馬評を覆す見事な総合優勝。私としても正直優勝は厳しいんじゃないかと見ていたのですが、好記録連発で他大学を圧倒しました。今回の青山学院大学の強さは何といってもピーキングで、10月の出雲駅伝→11月の全日本大学駅伝→学連の10000記録会・世田谷ハーフ→箱根駅伝という1シーズン4レースのローテーションの中で、しっかり尻上がりに調子を上げて来れる選手を10人並べられたということに尽きると思います。
一方で今回のライバル校を見てみると、東海大学は4区名取選手、5区西田選手が直前の怪我等で万全の状態では無く、前回の優勝に貢献した阪口選手もコンディションが整わずに起用できず。駒澤大学、東洋大学はチーム全体としてピーキングに失敗した感があり、ブレーキ区間が出て優勝争いに絡めませんでした。こういったあたりで改めて長距離走の一発勝負で実力を発揮することの難しさを感じましたし、それを10人全員がやってしまうという青山学院大学の凄さだけが際立つ大会となりました。
あと今回の青山学院大学はやはり、「負けて強くなった」という印象が強いですね。上に貼った記事にも書きましたが、やはり「勝利から学べること」と「敗北から学べること」のベクトルは異なるので、勝負の前段階として、「勝利経験」と「敗北経験」の両方があるというのがベストなんですよね。無敗のダービー馬がなかなか出てこないのもこういったことが要因です。
去年の青山学院大学は4連覇中で、「負けを知らないチーム」でした。それが今年、去年の敗北から「負けを知ったチーム」となり、敗因を徹底的に分析し、対策・改善を完璧に行うことができた。これが大きかったように感じます。そう考えると、「敗北」というのは、組織・個人にとっても必要不可欠な要素ですし、なんにせよ「敗北できる=ライバルが存在する」ということは必ずプラスになってきます。
「敗北こそが勝利への近道だ」
そんなメッセージを強く感じた第96回箱根駅伝。青山学院大学以外の19校は強くなるヒントを手にし、新春の箱根路を去りました。彼らが1年間でどんな成長を遂げるのか。期待に胸を膨らませつつ、2021年の1月2日。号砲を待つことにします。それではまた来年。