ダートの中距離戦で先行馬を買っていたらキモいマクリが入って前が壊滅し、「うわキモいなんだこれ」「いらんことすんなよウチパク」「そこで動くのかよ丹内」となって馬券が外れたことがある人は多いのでは。
そこで今日は、そんなマクリに悩まされているそこのあなた必見。マクリと差し決着のメカニズムについて見て行きたいと思う。ダート中距離戦の展開予想をするうえで少しでも役に立てば。
競馬分析記事ではこんなのも書いたのでぜひ。
コース別のマクリ分析
まずマクリを分析するうえで、競馬場別にダート中距離戦におけるマクリがよく起こるポイント、脚質や展開的なバイアスについて表にまとめてみたので見てほしい。対象としているコースはダートの中京1800・1900、函館1700、新潟1800、小倉1700、中山1800、福島1700、札幌1700、京都1800・1900、東京1600(2100はあとで個別に書きます)、阪神1800・2000です。
中京
中京ダートは3コーナー~4コーナーがかなり急カーブなうえに下り坂となっており、マクるのはほぼ不可能と言える。仮にコーナーで進出していこうものなら外に振られて長い直線に坂で間違いなく垂れる。この特殊な形状が猛烈な内バイアスを生んでいる。逆に長い向こう正面でマクるという作戦もあるが、マクりきらなければ結局コーナーで外を回されてしまう。前半ハイペースになることも多いし、マクリについてはほぼ考慮しなくていいコースだと考えている。
函館
このコースも4コーナーがキツくコーナーでマクるのはほぼ不可能であり、4コーナーをタイトに回るアドバンテージを作れる先行馬がそのまま残ることが多い。一方で1コーナー~向こう正面にアップダウンがありペースが落ち着きやすいため、向こう正面マクリが比較的決まりやすい。向こう正面でマクるためには、ある程度2コーナーを通過した時点で前を射程に捉える必要がある。ゆえに極端に後ろから行くマクリ馬よりは、中団からマクるタイプの馬を狙ったほうがベターだと思う。
新潟
このコースもコーナーでマクれないことからかなり前残りになりやすい。レパードSも今年が特殊だっただけでほぼほぼ前に行った馬で決まる。よってここでも函館と同じように中団からマクるタイプの馬しか台頭できない。1コーナーが急なので決壊ペースにもなりにくいですしね。
小倉
函館や新潟と違い3コーナーでのマクリが決まりやすいのが特徴。直線が短いせいで前が残ると思われがちだが、コーナーで外をスムーズに回って加速のついた馬がそのまま差し切るケースも珍しくない。多少後ろから行く馬でも、積極的にマクれる騎手(松山、松若など)なら狙ってみても面白いのでは。
中山
中山ダート1800は私がもっとも得意としているコース。ポイントは急坂で、ダートはただでさえ接地点における摩擦抵抗が大きいのに加え、かなりの傾斜の坂があるとなれば、そこで加速するというのはサラブレットの能力的に無理に近い。ゆえに坂に入る前段階(3~4コーナー)である程度スピードをつけておきたい。チャリで坂を登るってなった時にできるだけ助走がついていたほうが楽なのと同じ理屈である。ダートにおいて距離をロスするデメリットよりも自由に動けるメリットのほうが大きいと言える理由はここにある。いかに加速した状態で直線を向けるか。直線入り口のちょっとしたスピードの違いで1秒は平気で変わるのがダート戦である。ゆえに3コーナーの段階で外からスムーズに加速していった馬が圧倒的に有利で、それが圧倒的外枠有利に繋がっていると思う。中団の外からマクリ気味に上がっていけそうな馬を狙うのがベターだろう。
福島
基本的に中山と同じであるが、4コーナーがバンクになっており、さらに外からマクリ気味に加速をしやすい構造になっている。ゆえに3コーナーでまだ中団あたりにいても直線入口でマクリ気味に先頭に立ちやすいというのが特徴である。一見前残りになりやすいように見えるが、意外と前には苦しいコースであるというのを忘れてはいけない。当然外側にいる馬を中心に狙いたい。
札幌
コーナーが緩く、向こう正面から4角入口までどこでもマクっていけるのが特徴のコース。ただコーナーをタイトに回る減速ロスが少ないので中団インで脚を溜めた馬にもチャンスがある。とにかくフラットなペースで流れることが多いので脚力質タイプの馬でも対応できるのが他のローカル競馬場との大きな違い。
京都
札幌と違って1~2コーナーがタイトなので、そこで緩むことからかなり前に有利なラップ構成になりやすい。マクろうとすればどこでもマクれるのだが、向こう正面で登り終わってからフラットコースなので、前に行った馬は効率的に加速していける。その分マクった馬は結局苦しくなって最後はバテる。よってかなりの割合で前残りレースになる。今の話に基づけば平安Sで追い込んできたオメガパフューム、チュウワウィザード、モズアトラクションがそのあと結果を残しているという点にも納得が行くだろう。
東京
東京2100は相当なタフコースで、マクリとか関係なくタフな馬買っとけば当たるのでここでは考えない。東京1600は基本的にマクリは入らないで直線でどれだけ速い脚を使えるかが焦点になる。追走能力で勝負するタイプは厳しく、とにかく上がりが速い馬だけ買っておけばいい。ただこれだけ大箱でも直線登りがゆえに外枠が有利という点は押さえておきたい。
阪神
複合コーナーになっていて、3コーナーと4コーナーの間に直線的な箇所があり、差し馬はそこで前との差をマクリ気味に詰めて行くことができる。そこからの急坂なので基本的に差しがかなり有利。京都で差し損ねた馬がどんどん穴を開け、京都で粘りこんだ馬がどんどんぶっ飛ぶ。中山の次に好きなコースですね。
長々と書いてきたが、ひとことでマクリといっても競馬場によっていろいろ性質が異なる。その競馬場に合ったマクリが使える馬や騎手を狙っていくことが一番大切だと思う。
差し決着のメカニズム
ダートは特にだが、マクリが決まると差し決着になりやすい。それはどういうことなのかを簡単に説明していきたいと思う。
①そもそも強い差し馬しかマクれない
ダートでは前に行ける馬=強い馬が基本であるが、レースのメンバー構成で後ろから行く馬が地力上位のときがたまにある。そういう時は当然追走能力の差で前にいる馬が先に垂れるので、自然に能力上位の馬が4角先頭という形になるのだが、外面だけ見るとマクりが入って差し決着になったように見える。これについては先行馬の過大評価にも繋がるので注意したほうがいい。
②先行馬の息が入らない
ダートは摩擦抵抗が大きいので、先行するのにかなり脚を消耗する。ゆえ先行馬は直線を向くまでにどこかで休みたい。しかしマクリが入ってくると休む暇がなくなるため、脚は消耗を続ける。よって後ろにいた馬が恩恵を受けるということに繋がるのである。
③圧倒的地力上位の馬がいる
圧倒的地力上位の馬がいると、その馬にとってはフラットなペースであっても他の馬にとってはその馬がマクっているかのようなペースに付き合わされることとなる。よって脚がそぎ落とされ、差し決着に繋がる。実際5馬身差以上の圧勝レースは紐が差し決着で荒れることが多い。
ダート戦における差し決着はこの3つのマクリパターンか決壊ペースの2種類しかない。下級条件なら決壊ペースになることはほとんどないので、上記の要素がなければ前に張るのがベターなのでは。
ブリーダーズGC
最後に地方交流をちょっと。今日は門別でブリーダーズGCが行われますね。
予想としては脚力質決め打ちで◎プリンシアコメータ 消ラインカリーナで。馬券は買いません。それでは。