かえるん日記

当たった時は謙虚に。外した時は冷静に。

ラップ論的アプローチと走法論的アプローチの互換性について

お盆で時間があるので競馬についてじっくり考えてみようという記事です。理系大学院生が競馬について考えるとこうなるのかという感じで適当に読み流してほしい。

私は結構競馬の予想アプローチにおいてレースラップ走法についてよく考えるのだが、この2つの要素は一見互換性がないように見えて密接に関わりあっていると考えている。それはどういうことかというのをこれから説明していきたいと思う。

馬の加減速

下の図を見てほしい。これは馬が加減速する全要素を図示したものである。

 

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馬が加減速する要素は、空気抵抗による惰性減速と、接地点における推進力摩擦力のみである。馬が宙に浮いている間って空気抵抗以外に加減速のしようがないですからね。1完歩につき4度の接地。この際に加速減速が起こる。つまり重要なのは接地回数である。接地回数が多い馬ほど加減速するし、接地回数が少ない馬ほど加減速しない。もっと言えば接地回数が多い馬ほど加減速に強いし、接地回数が少ない馬ほど加減速に弱い。これは感覚的にわかるのでは。

接地回数が多い馬とはピッチ走法の馬であり、接地回数が少ない馬とはストライド走法の馬である。以上のことを踏まえると、ピッチ走法の馬は加減速の多いレースに強く、ストライド走法の馬はフラットペースのレースに強いということになる。よってこのレースはどういうラップのレースになりそうなのかというのを決め打ちして、走法である程度張るというのは合理的な予想方法になると個人的には考えている。

接地点における運動方程式の適用

もう1つ。接地点に作用する摩擦力をN、推進力をSとして運動方程式を適用すると、

ma=Fより

M・ΔV=S-Nとなる。

(M:馬体重+斤量、ΔV:加減速)

M>0より、S>Nの場合ΔV>0で加速。S<Nの場合ΔV<0で減速する。

ここで特筆すべきなのは同じS-Nの数値であってもMの差によってΔVが変化するということ。具体的に言うと、馬体重+斤量が変化することによって加減速の度合いが変わるということである。言われてみれば当然ではあるのだが、馬体重の重い馬は当然加速するのに多くの力を要する。一方で、馬体重の重い馬のほうが減速しにくいということも言えると思う。どれだけ減速しないかが焦点となってくるダートにおいて馬体重の重い馬が圧倒的に有利になっているのはそういう側面もあると思われる。

 わかりやすい例を出すとすれば、エルムSで3着に来たサトノティターン。あの馬は馬体重がかなり重いうえにストライド走法のため、どれだけ加速できるかが焦点の芝のレースより、どれだけ減速しないかが焦点のダートレースのほうが合っている。さらに言えば、かなりのストライド走法がゆえにコーナーの緩い大箱コースである東京や札幌(※)で好指数を出しているという点でも整合性がとれる。

 

※よく札幌を小回りっていう人がいるんですけど、札幌はコーナーが緩いので小回りではありません。

こんな感じでしょうか。走法的なアプローチはやっている人が少ないという点で勉強しがいがあると思いますし、こういう風にラップ論や、血統・調教的なアプローチとも互換的に考えることができると思うので、考えてみて損はないと思う。それでは。