先週出した討論記事に「1世帯に2枚のマスク配布は愚策である」と書いたのですが、いろいろ調べているうちに、そう言い切るにはちょっと浅かったなと思う部分もあり、今日はこれについての補足説明的な記事を作っていきたいと思います。
布マスク2枚の背景
まずこのような政策が出た背景について説明していくと、今の日本は新型コロナウイルスの影響で慢性的なマスク不足に陥っています。しかし、「使い捨て紙マスク」の生産数には限界があり、紙マスクは感染リスクの高い医療機関に優先的に回し、感染リスクの比較的低い我々一般国民には「繰り返し使える布マスク」あたりで凌いでもらえないかというのが政府の思惑です。
しかしそのような布マスクは現在市場には流通しておらず、メーカーとしても確実に売れる保障がないものを大量生産するというのはかなり渋い状況です(ただでさえ紙マスクの生産でいっぱいいっぱい)。そこで政府が買い上げる前提で発注することで、メーカーに布マスクを生産してもらおうというのが政府が最も意図するところではないでしょうか。
簡潔ではありますが、政府が出した「布マスク2枚」という突拍子もない政策にはこういった背景があります。官僚や専門家たちが議論に議論を重ねた政策に、出すだけの根拠が何もないわけがないんですよね。
これに対しては様々な反論が噴出していますが、個別に見て行きたいと思います。
反対意見① : わざわざ輸送費をかけて郵便配達させる理由がわからない
これに関しては配達以外の手段が無いというのがそもそもの話で、もし配布という形になれば、配布時に出来る行列によってクラスター形成にも繋がってしまいます。費用がかかるとはいえ、この状況においては郵便配達が1番利口と言えるのではないでしょうか。
反対意見② : 布マスクの性能に疑問がある
確かに布マスクの網目は紙マスクに比べて遥かに大きいかもしれませんが、そもそもマスクをする大きな理由としては
①感染している人が付けることによって飛沫感染を防ぐ
②喉や鼻の乾燥を防ぐ(粘膜の機能低下を防ぐことができる)
③鼻や口を無意識に触るのを防ぐ(感染リスクを低下させることができる)
というものが挙げられ、これらの役割は布マスクであっても十分に果たすことができます。
反対意見③ : 繰り返し使うことによる危険性
布マスクを触った後に手を洗わなかったりすると確かに感染リスクは高まりますが、これは結局紙マスクも一緒で、いずれにせよ適切に取り扱わなければマスクは逆効果に成りえます。そもそも現状のマスク不足のせいで使い捨て紙マスクを交換せずにずっと付けている人もいたりするわけで、それなら洗って再度使える布マスクのほうがいいのではないかという話になってきます。
反対意見④ : 1世帯につき2枚というのはどうなのか
これに関しては確かにどうなのという部分もありますが、こういった政策に求められるのはまずは特効性です。あれこれ考えず、「まず2枚」を配り、そこから感染者の多い地域であったり、大家族、核家族世帯に追加に回したりということも考えられるのではないでしょうか。
このほか「給付金の代わりにマスク2枚というのはどうなんだ」と言う人もいますが、上記のとおり布マスク2枚は給付金云々とは全く別の案件であり、「代わりに」という表現は適切ではないと思います。
まとめ
そう考えると、1番問題なのはこういった政府の意図が国民にしっかりと伝わり切っていないという点です。いろいろな説明をしているにも関わらず、「マスク2枚」という点だけを切り抜いて強調して報道していたマスコミもそうですが、政府広報からも国民に布マスクを付けさせたいんだという意思を感じることはできません。せっかく配ったマスクが付けてもらえないのでは意味が無いので、まずは国民に理解させるということを重点的に取り組んでほしいものです。
私も最初は費用対効果の面からこの政策に対して批判的なスタンスを取っていましたが、事態の深刻化やこういった背景について顧みると、頭ごなしに批判するのはちょっと違うのではないかと考えるようになりました。批判することは誰にでも簡単に出来ますが、今は国難とも言える緊急事態です。所詮素人の我々には、政府や専門家の指示をしっかり遂行していくことしかできません。ひとりひとりが当事者になり得るという自覚を持って行動していくことが大切ではないでしょうか。
以上です。諸々厳しい情勢が続きますが、頑張っていきましょう。それではまた明日。